(3629:東証マザーズ) クロス・マーケティング 2012年12月期上期業績レポート

2012/09/27

今回のポイント
・12/12期上期は前年同期の非連結決算との比較で34.5%の増収、同28.8%の経常増益。サービスラインナップの充実が進んだ事と提案営業の成果で直接販売が大きき伸びた他、間接販売も堅調に推移した。積極的な採用やシステム投資等による販管費の増加を増収効果で吸収して同14.8%の営業増益。 

・通期業績予想に変更は無く、前期比24.3%の増収、同3.0%の経常増益。直接販売を中心にしたリサーチ事業の売上が増加する事に加え、前期は5ヶ月間の寄与だったITソリューション事業が通期で寄与する。配当は1株当たり2.5円増配の年13円を予定している(上期末6.5円、期末6.5円)。

・人員の増強やシステム投資等の先行投資負担を吸収して利益を増やせる事業規模になってきた。また、第2の柱として育成中のITソリューション事業も保守運用を安定収益源としつつ、新規の案件取り込みが堅調なようだ。

会社概要
インターネット調査(ネットリサーチ)を主力とするマーケティングリサーチ会社。提携会社と共に作り上げた1,000万人超のモニター会員を利用できる大規模パネルを有し、定量・定性の調査メニューをオンライン・オフラインの両面から提供する事で顧客のマーケティングをサポート。また、グループでプロモーション分野やモバイルソリューション分野へと事業領域を拡大している。グループは、同社の他、連結子会社の(株)クロス・コミュニケーション、株式会社ユニクラウド及びCross Marketing China Inc.、持分法適用会社の(株)リサーチパネル及び(株)リサーチ・アンド・デイベロプメント等の6社。

【事業の種類別セグメント】

事業は、ネットリサーチを中心に周辺サービスも手掛ける「リサーチ事業」と(株)クロス・コミュニケーションの事業領域でモバイル向けサービスの企画・開発・運用事業及びプロモーションを手掛ける「ITソリューション事業」に分かれる。

「ITソリューション事業」は11年8月に(株)インデックスから譲受したモバイル向けソリューション事業(アプリやWeb サイト等を活用したサービスの企画、設計、受託開発、及び運用等)を、(株)クロス・マーケティングが立ち上げたWebプロモーションと統合して11/12期に新たにセグメントした。尚、譲受したモバイル向けソリューション事業は大手法人向けを中心とした受託開発及び運用で業界トップクラスの実績を有し、「ITソリューション事業」の事業主体である(株)クロス・コミュニケーションは11年8月1日に営業を開始した。
また、会社設立以来、ネットリサーチに経営資源を集中する事で業容を拡大してきた同社だが、ネットリサーチの拡大と共に、グループインタビュー、行動観察調査といった定性調査や会場調査等のオフライン調査への対応が増えている事を踏まえて、従来の「ネットリサーチ事業」を「リサーチ事業」へ名称変更した。「リサーチ事業」では、実際の調査(実査)だけでなく、経験豊富な専任リサーチャーが顧客の課題を的確に捉え、調査企画からデータ分析・レポートまでトータルにサポートしている他、海外(40カ国以上)での学術研究機関向けの調査にも対応している。

【沿革及び業績推移】

大手調査会社との取引(間接販売)からスタートした同社だが、現在の成長ドライバーは一般企業との直接取引(直接販売)。調査企画からデータ分析・レポート等の実査以外のサービスに加え、グループインタビューや会場調査等のサービスラインナップの拡充と企画提案型営業による需要の掘り起こしが進んでいる。また、積極的な業務推進や目的に応じた業務提携等に加え、リサーチャーや営業担当の採用拡大等の先行投資も事業拡大につながっており、04/12期(会社設立2期目)から直近の11/12期にかけて増収を続けている(8期連続)。

【12/12期のテーマと取り組み状況】
テーマと施策

12/12期のテーマとして、①顧客密着度の向上による顧客ニーズに応じたサービスの提供、②事業拡大に向けた攻めの体制整備、③システム投資の成果としてのスピード・価格競争力強化、及び④新規事業・サービス開発の4点を挙げている。それぞれのテーマに対する施策は次の通り。

取り組みの状況

①では、顧客接点の機会創出に力を入れており、顧客向け無料集計ツール「Cross Finder 2」や「オンライン型インサイトリサーチ」等、顧客ニーズを反映した新サービスの提供を開始した。②では、最新技術やソーシャルメディアを活用した企画提案を推進している他、新サービスを含めた提案の拡大や、より本質的な課題解決を目指す提案能力の向上に努めている。また、③では、新アンケートシステムにおける業務ライン及びオペレーションを整備し、安定的に運用できる体制を構築し、④では、中国現法Cross Marketing China Inc.を設立した他、「iDesktop」サービスの提供を開始した。

2012年12月期上期決算
前年同期の非連結決算との比較で34.5%の増収、同28.8%の経常増益

売上高は前年同期の非連結決算との比較で34.5%増の2,576百万円。前年同期が東日本大震災の影響を受けた事もあるが、サービスラインナップの充実が進んだ事と提案営業の成果で直接販売が大きき伸びた他、間接販売も堅調に推移した。利益面では、新アンケートシステムの導入(11/12期第2四半期稼働)による減価償却費の増加(24百万円増)で売上総利益率が低下した他、売上拡大に向けた営業力強化のための増員(営業要員、リサーチャー、開発要員)や(株)クロス・コミュニケーションの連結に伴う人件費の増加(125百万円)等で販管費も増加したものの増収効果で吸収。営業利益は225百万円と同14.8%増加した。営業外損益の改善は、連結決算への移行に伴い持分法投資利益28百万円を計上した事による。

尚、期初予想との比較では、売上はわずかな上振れにとどまったものの、予算管理の徹底が成果を上げ、営業利益以下の各利益段階で期初予想を大幅に上回った。

リサーチ事業

売上高は前年同期比15.8%増の2,217百万円。ネットリサーチ以外の周辺サービスの提供等によるサービスラインアップの充実と提案営業の強化で新規開拓と既存顧客の深耕が進み、一般事業会社に加え、広告代理店やコンサル・シンクタンクなど151社と新たに取引を開始した。直接販売、間接販売を合わせた総案件数は前期の2,931件から3,149件へ7.4%(218件)増加。大型案件の獲得に成功した事で販売単価も上期を通して高い水準を維持した。

ITソリューション事業

売上高は358百万円。ITソリューション事業では、B to B to Cを中心とした幅広いビジネスソリューションサービスを展開しており、スマートデバイスにおけるWebサイト構築からアプリケーション(以下、アプリ)開発に至る多様なソリューションの提供やモバイルと親和性の強いソーシャルメディア(Facebook, Twitter等)と連動したプロモーション等も手掛けている。この上期には、AR(拡張現実)技術を利用したスマートフォンアプリ「PicSTAR」の提供を開始した。

(3)財政状態

上期末の総資産は前期末比77百万円増の2,907百万円。総資産全体では大きな変化は無かったが、投資有価証券100百万円の満期償還で現預金が増加した。

(4)上期のトピックス

自社開発スマートフォンアプリやオンライン型インサイト発見サービスといった新サービスの提供に加え、顧客向け無料集計ツール「Cross Finder」のバージョンアップを実施した。「Cross Finder」を利用する事で、調査結果の「質問加工」、「クロス集計」、「グラフ作成」、「レポート出力」等を簡単に行う事ができるが、今回、処理速度向上に加え、マニュアルなしでも簡単に操作可能なインターフェースへの改善等、大幅なバージョンアップを実施。「Cross Finder 2」として提供を開始した。

また、企業のマーケティング担当者を対象にセミナーの開催など積極的な情報発信も行った。その一つである「第4回インサイトスコープProjectセミナー」(12年5月21日開催)では、インサイトを発掘し、新たな市場を開拓した商品開発とプロモーションの裏側を紹介した。

この他、中国市場への事業展開に向け上海市に子会社 酷絡司网絡信息科技(上海)有限公司〔Cross Marketing China〕を設立した。ITソリューション事業における中国でのオフショア開発や中国へ進出する日本企業向けWebサービス等からスタートし、将来的にはマーケティングリサーチ事業の中国拠点としての役割を担わせたい考え。

2012年12月期業績予想
通期業績予想に変更は無く、前期比24.3%の増収、同3.0%の経常増益

売上高は前期比24.3%増の5,500百万円。業界再編や大手調査会社の組織再編等の影響を織り込んだ結果、間接販売がわずかに減少する見込みだが、直接販売の増加で吸収してリサーチ事業の売上が同12.4%増加。前期は5ヶ月の連結にとどまったITソリューション事業がフルに寄与する事も売上の押し上げ要因となる。
利益面では、トップラインの引き上げを図るべく採用(営業要員、リサーチャー、開発要員の増員)やシステム投資等を積極的に進める他、ITソリューション事業が期を通して寄与する事等で売上原価及び販管費が増加するものの、増収効果で吸収して営業利益が同19.5%増加する見込み。当期純利益が減少するのは、持分法投資利益を保守的に見ている事と税負担の増加を想定しているため。
配当は1株当たり2.5円増配の年13円を予定している(上期末6.5円、期末6.5円)。

今後の注目点
人員の増強やシステム投資等の先行投資負担を吸収して利益を増やせる事業規模になってきた。また、第2の柱として育成中のITソリューション事業も保守運用を安定収益源としつつ、新規の案件取り込みが堅調なようだ。投資が利益を生み、利益が更なる投資を可能にする、という好循環の中にある。この結果、今期も最高益更新が見込まれるが、国内ネットリサーチ市場は2010年で430億円と言われ今も成長が続いているだけに、未だ事業の拡大余地は大きい。独自開発のスマートフォンアプリやオンライン型インサイト発見サービスの提供といった切れ目無く投入される商品やサービスの成果に期待したい。また、中長期的な視点から中国子会社の活用についても注目していきたい。
株式会社インベストメントブリッジ
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