(7707:JASDAQ) プレシジョン・システム・サイエンス 2012年6月期業績レポート

2012/09/20

今回のポイント
・12/6期は売上高35.2億円(前期比12.0%増)、経常損失1.7億円(前期は4.2億円の損失)。利益計上には至らなかったものの、製造委託先の協力も含めた原価低減とグループを上げてのコスト削減で前期は4.3億円だった営業損失が1.3億円に減少した。 

・13/6期は売上高41億円(前期比16.5%増)、経常利益0.3億円を見込む。ロシュグループ向け販売の増加、新規OEM案件の寄与、更にはM&A効果もあり売上が増加。製造委託先の協力による原価低減と研究開発費の抑制等で前期は1.3億円の損失だった営業損益が0.5億円の利益に転じる見込み。

・DNA自動抽出装置依存体質からの脱却と成長軌道への回帰に向け、小病院やクリニックをターゲットにした遺伝子解析や免疫測定等の自動装置事業が本格化する。来13年に臨床研究市場での発売を計画しており、翌14年には臨床診断市場に展開する考え。

会社概要
遺伝子関連情報の有効活用による社会貢献を目指しており、特許技術である「マグトレーション(Magtration®)技術」(後述)を用いたDNA(デオキシリボ核酸)自動抽出装置及び同装置で使用される試薬やプラスチック消耗品等の開発、製造、販売を行っている。DNA自動抽出装置はDNAの分離・抽出・精製を自動的に行うもので、体外診断(in vitro:インビトロ)と呼ばれる「遺伝子解析」や「たんぱく質・免疫解析」の入り口(上流工程)に当たり、身近な例では、健康診断等で行われる血液検査や尿検査の前処理であり、犯罪捜査で容疑者や被害者の特定に使われるDNA鑑定にも不可欠な工程である。

欧州子会社(PSS E)及び米国子会社(PSS USA)を中心に連結子会社8社とグループを形成し、OEMを中心にワールドワイドに事業を展開。OEM先には、スイスの医薬品大手ロシュ(Roche)グループ、分子生物学の研究用自動化装置や試薬の開発・販売を手掛ける独キアゲン(Qiagen)グループ、生化学や血液学検査の三菱化学メディエンス(株)、米ライフテクノロジーズ(Life Technologies)社、米ベックマン・コールター(BECKMAN COULTER)社、米ナノストリング(NanoString Technologies)社等の有力企業が名を連ねる。また、近年では、自社ブランドでの販売にも力を入れている他、DNAの抽出・精製だけでなく、その後の工程である増幅・測定までをカバーする一貫自動化システムの開発に取り組んでいる。

【沿革】

1985年7月、理化学機器(臨床検査機器)の保守メンテナンスを目的として東京都板橋区に設立された。89年2月 には自社製品として、分注装置、希釈装置、洗浄装置など理化学機器の製造販売を開始。91年2月には千葉県松戸市に松戸研究所を設置し、臨床診断自動化システムの研究開発の受託を開始した。
同社のコアコンピタンスであるマグトレーション(Magtration®)技術は、この研究開発の過程で生まれたので、95年6月に日本・米国・欧州等の世界各国に特許出願すると共に(その後、世界30カ国で約80件の特許を取得)、化学発光免疫測定装置(HiMICO)を上市した。同年10月にはマグトレーション技術を利用したDNA自動抽出装置の製品化に成功。96年8月には東洋紡績(株)とDNA自動抽出装置等に関するOEM契約を締結し、その後、2000年にかけて、ロシュ、キアゲンへとOEM先を拡大し、01年2月に大証ナスダック・ジャパン市場(現JASDAQ市場)に株式を上場した。

上場後は、米国、欧州に子会社を設立し、OEM先を更に広げ業容を拡大。08年以降は、臨床研究市場からより市場規模の大きい臨床診断(バイオ診断)市場へとシフトするべく、欧米のバイオ企業との連携強化を強化。08年4月にベルギー Diagenode SA、酵素、DNA、抗体、遺伝子工学用試薬類を手掛ける(株)ニッポンジーン(東京都千代田区)とエピジェネティクス(遺伝子発現に関する研究分野)用自動化システムの開発で提携した他、09年9月に米国の臨床検査センターである ARUPラボラトリーズと販売及び保守契約を締結。製品開発では、次世代シーケンサー(DNA配列解析装置)の前処理工程自動化装置(既に製品化)や、DNAの抽出から増幅、検出、測定(感染症の有無の判定)までを一貫して自動処理する遺伝子検査装置(インフルエンザ、肝炎、HPV等のウィルスを検査する)の製品化に取り組んでいる。また、同年同月に価格競争力も含め製造面を強化するべく日本パルスモーター(株)と提携し、その子会社で製造委託先であるエヌピーエス(株)を持分法適用会社化した(12年7月に株式買い増しにより連結子会社化した)。

09年春の新型インフルエンザの流行でウィルス感染の判定にDNAが使われ、同社がOEM供給するDNA自動抽出装置の一つが世界保健機関(WHO)の診断ガイドラインに掲載された。このため09/6期から10/6期にかけてDNA自動抽出装置や消耗遺品の出荷が急増し、売上高・利益が過去最高を大きく更新した。しかし、11/6期はOEM先での在庫調整で売上・利益が急減。12/6期はロシュグループを除くOEM先での在庫調整が完了し増収に転じたが、円高が利益を圧迫した。13/6期は引き続き円高が重石となるものの、ロシュグループ向け販売の回復に加え、新規OEM案件や量産機の市場投入、更には子会社化したエヌピーエス(株)の寄与もあり売上が増加し、損益の更なる改善が見込まれる。

【コアコンピタンス -マグトレーション(Magtration®)技術-】

「Magtration®」とは「磁石によるふるい分け」という意味を表す”Magnetic Filtration”を縮めた造語で、DNAを吸着する磁性粒子の反応を自動化するために開発された同社の独自技術。研究分野、実用分野を問わず、DNAを利用するには細胞(血液等の検体)からDNAを取り出す必要があり、それまでも磁性粒子を用いた抽出が行われていたが、手作業のため時間を要した上、粒子の捕獲効率や次工程での再懸濁効率が悪く、クロスコンタミネーション(サンプル間の混合)等の問題もあった。しかし、マグトレーション技術の開発で、自動化による作業時間の短縮はもちろん、捕獲効率や再懸濁効率が改善され、クロスコンタミネーション等の問題も解決された。

マグトレーション技術の特徴

・装置の機械構造がシンプルで、製造に関して特殊技術を必要としない
・手作業で2~3時間を要した抽出作業が10~30分程度で完了
・1本の使い捨てチップで1検体の抽出作業が完了するためクロスコンタミネーションが発生しない
・数μl(マイクロリットル=1リットルの百万分の1)というごく微量な溶液にも対応可能
・DNA、RNA、mRNA(メッセンジャーRNA)、Plasmid(特定の細菌に存在する冠状二本鎖DNA)など抽出対象物が多様
・反応工程を自在に設定できるため、どの様な試薬にも対応可能で汎用性が高い

【実績 累計1万台以上のDNA自動抽出装置を世界のOEM企業へ納入】

累計1万台以上のDNA自動抽出装置を世界のOEM企業へ納入しており、献血時等に実施されるNAT検査の精度向上と検査効率の改善に寄与した他、新型インフルエンザの流行時にはWHO新型インフルエンザ検査ガイドラインにも明示された。また、警察科学捜査において犯行現場に残された遺留品からの犯人特定に使われるDNA鑑定でも豊富な実績を有する。

(1)NAT検査での実績:PSSマグとレーション+ロッシュPCR

年間約500万検体の処理数を誇り、誤差は0.00034%と従来の抗体検査の誤差0.5%を大きく下回った。NAT検査の精度向上と検査効率の改善により輸血後の血清肝炎の発症率が劇的に低下した(現在、PSS製品の稼働は終了している)。

(2)WHO新型インフルエンザ検査ガイドライン

WHO新型インフルエンザ検査ガイドラインにPSSのOEM製品が明示され、現在、世界の病院で利用され、世界シェアは50%(同社推計)。現在、DNA抽出装置の標準機として認知されている。

(3)警察科学捜査におけるDNA鑑定

年間約21万件に及ぶDNA鑑定で使用され、冤罪事件(足利事件や東電社員殺害事件)解決の手がかりとなっただけでなく、東日本大震災での身元特定に応用されている。誤差は4.7兆人に1人。

Magtration® System 6GCは6検体の、Magtration® System 12GCは12検体の同時処理が可能。共に卓上型のコンパクトな仕様で、抽出操作は専用のICカードと試薬、消耗品をセットするだけ。ICカードには、目的に応じた動作があらかじめ書き込まれており、DNA抽出、RNA抽出、Plasmid抽出等を全自動で行う事ができる。

試薬は、あらかじめ必要量が分注されたプレパック試薬カートリッジとなっており、操作前の煩雑な分注作業が不要。

成長戦略 PSSの事業領域と取り組み
(1)事業環境
個の医療にもつながるバイオ診断と遺伝子検査

個の医療(テーラーメード医療)にもつながる遺伝子やたんぱく質を対象にしたバイオ診断市場は、実際の生体で現象を観察するインビボ(in vivo)診断市場と生体外での現象を観察するインビトロ(in vitro)診断市場に分かれる。ゲノム創薬、抗がん剤、再生医療・治療(iPS、ES細胞)等に代表されるインビボ診断は人体へ直接影響をもたらすため技術保証のハードルが高いが、同社が事業領域とするインビトロ診断(生体外。細胞を取り出して試験管の中等で行われる)はインビボ診断に比べてハードルが低い。ただ、その目的が従来の臨床研究からより市場規模の大きい臨床診断へ広がりつつあしビジネスチャンスが拡大している。

手作業で行う複雑な前処理工程が遺伝子検査普及の妨げに

バイオ診断における検査の一つに遺伝子検査があり、インフルエンザウィルス検査、肝炎ウィルス検査、HPVウィルス検査(子宮頚がんの原因となるヒトパピローマウイルスの検査)、薬剤副作用検査、法医学でのDNA鑑定、体質を判定するSNP診断等、身近な分野に実用領域が広がっている。ただ、価格・性能の両面で十分にユーザーニーズを満たすシステムが開発されていないため、遺伝子検査は未だ期待されたほどには普及していない。例えば、遺伝子検査で世界をリードする米国では、高速かつ安価な次世代シーケンサー(DNA配列解析装置。以下、NGS)の開発が進められているが、手作業で行う複雑な前処理工程がNGSの本格的普及の妨げとなっている。

(2)PSSの成長戦略

同社は01年2月の上場から11年半が経過したが、この間、OEM製品であるDNA自動抽出装置の売上が、多い時は連結売上高の70%程度を占め、少ない時でも40%強を占めた。このため、同社の業績は同装置の受注いかん(OEM先の事情)で大きく振れ、また、一時的な要因を除くと成長にも頭打ちの感があった。
DNA自動抽出装置依存体質からの脱却と成長軌道への回帰が同社の喫緊の課題であり、上記の事業環境も踏まえ、遺伝子検査にフォーカスした独自ブランドの自動化装置の開発と臨床診断市場の開拓に取り組んでいく考え。

自動化技術を活かしたNGS前処理工程の自動化装置

同社は強みである自動化技術を活かし、多様な用途への応用が可能な前処理自動化装置「SX-8G Compact」を開発し欧米市場に投入した。米国市場ではIntegen X社と提携しており(ソフトウェアの共同開発と共同ブランドでの展開)、欧州市場ではDiagenode社(ベルギー)にエピジェネティクス解析向け仕様として供給している。
また、NorDiag社(ノルウェー)とNGS向けサンプル調製試薬や「SX-8G Compact」向けプロトコール(検査の手順や条件)の開発、及び試薬販売で合意。この合意に基づき、NorDiag社は試薬及びプロトコールの開発を行い、第三者機関による性能評価を受けた後、「SX-8G Compact」をはじめとする各種前処理装置としての利用を前提に事業を進めていく。
この他、ライフテクノロジーズ社とのOEM契約の対象をNGS前処理装置に拡大し(従来はDNA自動抽出装置のみ)、ライフテクノロジーズ・グループの主要企業で、シーケンサーの名門企業でもあるアプライド・バイオシステムズ(ABI)社に対して、「SX-8G Compact」と同機能を持つNGS前処理装置を、OEM供給している。

POCT市場をターゲットにしたオールインワン全自動解析装置

POCT市場向けのオールインワン全自動解析装置として、全自動遺伝子解析装置「geneLEAD」、全自動免疫測定装置「LuBEA」、小型生化学分析装置「SpeLIA」等の開発も完了しており、現在、性能評価を行っている。
「geneLEAD」はエイズや子宮頸がん等の原因となるウィルス(HIV、HBV、HCV、HPV等)や薬剤投与前の遺伝子検査に対応し、「LuBEA」は抗体が抗原と反応する性質を利用した測定装置で、特異アレルギー、甲状腺関連ホルモン、癌マーカー等の測定が可能。また、「SpeLIA」は肝機能検査、脂質代謝検査、腎機能検査、膵機能検査、糖尿病の検査等の診療前検査を想定しているが、人を対象にした検査よりもハードルが低いイヌCRPやネコSAA等の検査向けで販売を開始する(イヌCRPやネコSAA共に、感染、外傷、自己免疫疾患など様々な炎症で非特異的に上昇するため動物病院で検査される事が多い)。いずれもマグトレーション技術+αの技術コンセプトの基に開発された装置で試薬(検査試薬や臨床診断試薬)とセットで製品化されている。13年には臨床研究市場で販売を開始し、14年には臨床診断市場に展開する計画。
尚、POCTとは「患者の近いところ」で行われる検査の総称で、POCT市場では小病院やクリニック等が販売先となる。大病院や検査センター向けの大型システムは既に医療機器や電子機器等の大手メーカーが製品を供給している。

2012年6月期決算

売上高35.2億円(前期比12.0%増)、経常損失1.7億円(前期は4.2億円の損失)

売上高は前期比12.0%増の3,520百万円。キアゲングループや三菱化学メディエンス向け販売が好調に推移した他、自社販売も拡大。米アイビス社やアイルランドのバイオトリン社など新規OEM関連の売上も押し上げ要因となった。

利益面では、製造委託先の協力による原価低減とグループを上げてのコスト削減で、営業損失が前期の432百万円から136百万円に減少。持分法投資損益の悪化(26百万円→△7百万円)や為替差損益の増加(△20百万円→△31百万円)等で営業外損益が悪化したものの、経常損失も前期の424百万円から173百万円に減少した。

予想との比較では、ロシュグループ向けの回復の遅れや米国での一部案件の次期へのいずれ込みに加え、円高の影響もあり売上が下振れ。利益面では、遺伝子測定システムなど開発要素を多く含む受注案件の進捗で売上原価及び販管費が予想を上回った。

ロシュグループ向けは、過剰在庫解消の遅れから売上高が806百万円と前年同期比14.6%減少したものの、受注は回復基調にある。一方、キアゲングループ向けは引き続き好調に推移し、売上高は969百万円と同38.4%増加。この他のOEM先では、一部の米国OEM先が低調に推移したものの、三菱化学メディエンス(株)向けが好調に推移した他、新規OEM先として装置の開発契約を結んだ米国アイビス社(前出)やアイルランドのバイオトリン社(同)に対し開発進捗に伴う売上を計上。その他OEM全体で売上高は1,265百万円と同11.3%増加した。
また、自社販売先については、エピジェネティクス分野に対する装置及び試薬の販売が拡大してきた事や米国ナノストリング社製遺伝子解析装置の国内販売で売上高が478百万円と同32.6%増加した。

DNA自動抽出装置等

当セグメントには、ロシュグループやキアゲングループ等に供給しているDNA自動抽出装置の他、三菱化学メディエンス(株)に供給している免疫化学発光測定装置や自社ブランド展開しているタンパク質自動精製装置等の売上が計上されている。12/6期はロシュグループや一部の米国OEM先向けの販売が低調に推移したものの、キアゲングループや三菱化学メディエンス(株)向け販売が好調に推移し、売上高は2,051百万円と前期比3.0%増加した。

試薬・消耗品類

当セグメントには、DNA抽出やタンパク精製等に利用される各種の試薬及び同社装置の使用に伴い消費される反応容器等の専用プラスチック消耗品の売上が計上されている。主要なOEM先は自社製造の試薬を販売しているものの、プラスチック消耗品類は同社から購入する契約となっており、基本的には装置の累計出荷台数に応じて売上が増加する。12/6期は販売先の在庫調整が完了した事で売上高898百万円と前期比13.6%増加した。

メンテナンス関連

当セグメントには、装置メンテナンスやスペアパーツ(交換部品)販売等の売上が計上されている。主要なOEM先は自社でメンテナンス対応しているものの、スペアパーツは同社から購入する契約となっており、基本的には装置の累計出荷台数に応じて売上が増加する。12/6期の売上高320百万円と前期比2.9%増加した。

その他

当セグメントには、研究施設等で利用される特注自動化機器や顧客要求に基づく新規の製品開発、他社製品販売にかかる売上が計上されている。12/6期は既に説明した米国アイビス社やアイルランドのバイオトリン社に対する売上が計上された他、米国ナノストリング社製遺伝子解析装置の国内販売で売上高249百万円(前期比401.3%増)を計上した。

(4)トピックス  アボットと開発契約を締結

3月26日に、同社及びその米国子会社PSS USA, Inc.は、アボット社(Abbott Laboratories、米国イリノイ州)の子会社、アイビス社(Ibis Biosciences, Inc.)との間で、アボットの自動細菌検査システム「PLEX-ID」向け全自動前処理装置の開発製造契約を締結した。本契約により開発・製造される新装置は、検体の分割、精製を含む前処理工程の自動化を実現し、「PLEX-ID」での迅速かつ効率的なテストを可能にする。

尚、「PLEX-ID」は迅速にバクテリア、ウィルス、ファージ、寄生虫といった広範囲の同定を行いうる唯一のハイスループットテクノロジーであり、薬剤耐性、病毒性、系統タイプの情報も提供できる。また、PCRや質量分析など分子レベルの解析技術を組み合わせて搭載しているため、既知及び未知の有機体の迅速な特定も可能。現在、非臨床領域で利用されている。また、アボット社(創業1888年)は、医薬品、医療機器、栄養剤事業などヘルスケア分野で広範囲に展開するグローバル企業。2011年の売上高は389億ドル、純利益47億ドル。グループ総従業員数約91,000人を擁し、世界130カ国以上で営業活動を行っている。

2013年6月期業績予想
前期比16.5%の増収、経常利益30百万円を見込む

売上高は前期比16.5%増の41億円。ロシュグループ向け販売の増加(過剰在庫問題からの回復)、米国アイビス社向けやアイルランドのバイオトリン社向け等の新規OEM案件の寄与、更にはエヌピーエス(株)の子会社化効果等が増収要因。利益面では、円高が逆風となるものの、エヌピーエス(株)を中心とした製造委託先の協力による原価低減と研究開発費の抑制等による経費削減で販管費の拡大を抑制。前期は136百万円の損失だった営業損益が50百万円の利益に転じる見込み。為替の前提は、1ユーロ=100円、1ドル=80円。

尚、更なる生産管理体制の強化と製造コスト削減を進めるべく、7月31日付けで持分法適用関連会社だったエヌピーエス(株)の株式を追加取得し(出資費率は51%へ)、連結子会社とした。また、同社は配当性向20%(連結ベース)を目処に配当を実施していく考えだが、当期についは予想純利益が15百万円と少額であるため、現状では配当を見送る考え。

今後の注目点
DNA自動抽出装置依存体質からの脱却と成長軌道への回帰に向け、POCT市場をターゲットにした遺伝子解析や免疫測定等の全自動装置事業が本格化する。大病院や検査センター向けの大型で高価な装置は大手医療機器メーカーが手掛けているが、中長期の市場動向はシステムのダウンサイジング化であり、低コスト化。また、診断テーマの増加にも対応していく必要がある。このため、シンプルな技術によるコンパクトで廉価な装置でありながら、遺伝子からたんぱく質までの多種多様なバイオコンテンツに対応できる同社装置に対する期待は大きい。同社に限らず、新たな挑戦は計画遅延が常だが、13年に計画通り臨床研究市場できるようしっかりと準備してもらいたい。
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