(8860:大証1部,東証1部) フジ住宅 2013年3月期第1四半期業績レポート

2012/09/12

今回のポイント
・13/3期1Q(4-6月)は前年同期比5.7%の増収、同9.0%の経常増益。前期までのけん引役だった分譲住宅事業の売上が減少したものの、竣工・引渡しが順調に進んだ土地有効活用事業の売上が5割強増加した他、管理物件の増加で賃貸及び管理事業の売上も増加した。諸経費の伸びを抑え、同10.0%の営業増益。 

・業績予想に変更はなく、通期で前期比4.8%の増収、同18.4%の経常減益予想。中古住宅を中心に住宅流通事業が堅調に推移する他、豊富な受注残を抱える土地有効活用事業も伸びる。また、前期より再開した分譲マンションの寄与も見込まれるが、分譲住宅における高採算物件一巡の影響で営業利益が同16.8%減少する見込み。

・来期は引渡しが本格化する分譲マンションや阪神間及び堺市での戸建大型案件(自由設計住宅)の引渡しをけん引役に売上・利益が大きく伸びる見込みだ。受注高及び受注残高に注目していきたい。

会社概要
地盤である大阪府下を中心に阪神間で、戸建分譲・中古住宅等の住宅・不動産事業を展開。主力の戸建分譲は、分譲ながら間取りや設備仕様等、建築基準法の範囲内で最大限に顧客の要望を取り入れる「自由設計方式」と50~150戸規模で街並みの統一性を重視した開発を行う「街づくり」に特徴がある。また、中古住宅の改装販売、金融機関とタイアップした土地有効活用事業や個人投資家向けの賃貸マンション販売事業、賃貸・管理事業、注文住宅事業も事業の柱である。
各事業の内容は次の通り。

分譲住宅事業(12/3期売上構成比39.4%)

用地仕入・許認可の取得から、宅地造成、設計、建築、販売までの一貫体制を構築しており、「自由設計方式」と「街づくり」が特徴。マンション分譲も事業領域だが、地価上昇とその後の供給過剰と需要の低下に伴う事業リスクの高まりを予見。市場の悪化を予測し05年春の顧客への引渡しを最後に停止していた。リーマン・ショック後の地価の下落と分譲マンション市場の需給改善を踏まえ、12年2月より駅近の利便性の高い立地に1次取得者向け低価格帯の分譲マンション販売事業を再開した。

住宅流通事業(同38.9%)

「快造くん」のブランド名で展開している中古住宅の再生・販売や、小規模分譲地に廉価な新築建売住宅の販売を手掛けている。エリアごとに住まい探しの情報拠点となる「おうち館」や、仕入・販売の拠点となる「フジホームバンク」を設け、地域密着営業により交差点単位での地域情報の収集・分析力をベースとした物件の鑑定力や仕入・販売価格の査定の速度と正確性、更にはリフォーム業者の育成とマニュアル化等、独自のノウハウが強み。

土地有効活用事業(同10.2%)

賃貸住宅の建築請負と個人投資家向け一棟売賃貸マンションに分かれる。賃貸住宅の建築請負では、遊休地の有効活用を目的とした賃貸マンション・アパート等の建築提案を行なっており、市場調査・企画・設計・建築・竣工引渡後の運営管理までを一貫してサポート。コスト競争力の高い木造アパート「フジパレス」シリーズに08年11月サービス付き高齢者向け住宅「フジパレスシニア」が加わり、より独自性が強まった。金融機関や既契約者からの紹介案件が多い。また、個人投資家向け一棟売賃貸マンションでは、1棟あたり1億円前後の賃貸アパートを中心に展開。資金運用手段として根強い需要がある。

賃貸及び管理事業(同11.0%)

100%子会社フジ・アメニティサービス(株)が手掛けている。安定収益源となるばかりでなく、土地有効活用事業や個人投資家向け賃貸マンションの販売等との相乗効果も高い事業。

注文住宅事業(同0.5%)

建替え案件を中心にした注文住宅建築及びリフォームを手掛ける。これまでテストマーケティングを行ってきたが、11/3期より新たなセグメントとして独立させた。

2013年3月期第1四半期決算
前年同期比5.7%の増収、同9.0%の経常増益

売上高は前年同期比5.7%増の175.6億円。リーマン・ショック直後に仕入れた利益率の高い物件の好調な引渡しが一巡し通常の引渡しペースに戻った分譲住宅(自由設計住宅)の売上が減少したものの、竣工・引渡しが順調に進んだ土地有効活用事業の売上が5割強増加した他、管理物件の増加で賃貸及び管理事業の売上も増加した。
営業利益は同10.0%増の12.2億円。分譲住宅事業や営業拠点が増加した住宅流通事業の利益が減少したものの、土地有効活用事業や賃貸及び管理の利益増で吸収。税効果会計の影響もあり、四半期純利益は7.4億円と同13.9%増加した。
小規模宅地を中心にした地価の上昇や中古住宅における仕入競争の激化を踏まえて無理な仕入を控えたため、受注(契約)高は同9.0%減の153.4億円。引渡しが順調に進んだ事で、受注(契約)残高も308.7億円と前期末比0.6%減少した。

分譲住宅事業

自由設計住宅の完成引渡しが順調に進み、売上高は前年同期比5.7%減の59.6億円(引渡戸数の減少は当初から織り込み済み)。分譲マンション販売に係る広告宣伝費の増加やリーマン・ショック直後に仕入れた利益率の高い物件の引渡しが一巡した影響でセグメント利益は同32.7%減の4.9億円。一方、受注契約高は、前期後半に再開した分譲マンション販売が本格化したため、76.7億円と同15.7%増加した。

住宅流通事業

前期末の豊富な受注残の消化で売上高が62.7億円と前年同期比0.2%増加したものの、前期にオープンしたフジホームバンク西宮店やフジホームバンクおうち館泉佐野店等によるコスト増もあり、セグメント利益は2.1億円と同1.8%減少した。受注高は前期の大幅な受注増の反動に加え、新規参入業者による仕入競争の激化等もあり、53.3億円と同24.5%減少した。

土地有効活用事業

「フジパレスシニア」(低賃料タイプサービス付き高齢者向け住宅)やメゾネット型賃貸住宅の豊富な受注残による順調な工事の進行及び竣工・引渡しで売上高は31.5億円と前年同期比53.7%増加した。利益率の高い「賃貸住宅等建築請負」の売上構成比が高まった事でセグメント全体の利益率も改善し、セグメント利益は6.3億円と同126.6%増加した。

賃貸及び管理事業

土地有効活用事業にリンクした賃貸物件及び管理物件の取扱い件数が増加した事に加え、稼働率が前年同期に比べ改善した事もあり、売上高が20.6億円と前年同期比8.5%増加。売上の増加につれてセグメント利益も1.0億円と同53.6%増加した。

注文住宅事業

売上高は1.1億円と前年同期比22.3%増加したものの、今後の営業展開に向けた営業社員の採用等の先行投資負担で、11百万円のセグメント損失となった(前年同期は1百万円の利益)。

第1四半期末の総資産は前期末比8.3億円減の643.7億円。借方では、現預金を高水準に維持した一方で中古住宅の無理な仕入の抑制による販売用不動産(109.1億円→98.8億円)の減少を主な要因として、たな卸資産が減少。貸方では、有利子負債や未払法人税等が減少する一方、純資産が増加した。自己資本比率は31.7%と前期末比0.9ポイント改善した。

たな卸不動産/不動産売上高 :売上高に対する在庫の量をコントロールする指標
有利子負債/たな卸不動産 :在庫に対する有利子負債の額をコントロールする指標
たな卸不動産/純資産 :純資産額に対する在庫の金額をコントロールする指標
2013年3月期業績予想
業績予想に変更はなく、通期で前期比4.8%の増収、同18.4%の経常減益予想

売上高は前期比4.8%増の750億円。自由設計住宅が減少するものの、前期にオープンしたフジホームバンク西宮店やフジホームバンクおうち館泉佐野店の寄与等で住宅流通事業が堅調に推移する他、豊富な受注残を抱える土地有効活用事業や土地活用事業にリンクする賃貸・管理事業の売上も増加する。また、再開した分譲マンションの寄与は今期は限定的であるものの注文住宅事業の拡大が見込まれる。
利益面では、自由設計住宅においてリーマン・ショック後の地価下落時に土地を取得した高採算物件が一巡する中、分譲マンションや阪神間及び堺市での大型戸建物件の販売開始に伴う先行費用が負担となり営業利益が41億円と同16.8%減少する見込み。
1株当たり配当金は上期末10円、期末10円の年20円を予定している。

(2)通期予想に対する進捗状況

通期予想に対する進捗率は売上高23.4%、営業利益30.0%、経常利益30.4%、四半期純利益30.9%。
このうち売上高については、第1四半期の実績(175.6億円)に、第1四半期末の受注残高の内、当期売上予定の246.6億円を加えると422.2億円となり通期予想売上高750億円の56.3%に達する(当期売上確定分と考える事ができる)。これにほぼ確定と言える7月以降(12年7月~13年3月)の賃貸及び管理の売上予想62.7億円を加えると64.7%。このため、7月以降の受注高の内、265億円(通期予想売上高の35.3%)を当期中に売上計上できれば、通期予想売上高は達成できる事になる。
具体的には、竣工・引渡しが順調である事が条件となるが、自由設計住宅の7~8月の受注と、建売・中古住宅及び分譲マンションの一部の7~2月の販売契約高の動向がポイント。

今後の注目点
今期はリーマン・ショック後に仕入れた収益性の高い分譲物件が前期で一巡する中、分譲マンション販売や阪神間及び堺市での大型現場(自由設計住宅)の販売開始に伴う先行費用が負担となり営業利益が減少する見込み。ただ、来期以降はこれら物件の引渡しが本格化するため、売上・利益が大きく伸びる見込みだ。受注高及び受注残高に注目していきたい。
株式会社インベストメントブリッジ
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