(8912:東証マザーズ) エリアクエスト 2012年6月期業績レポート

2012/09/06

今回のポイント

・12/6期は前期比8.5%の増収、5百万円の経常利益(前期は43百万円の損失)。テナント誘致及び店舗・オフィス紹介等の成功報酬型ビジネスの売上が同5.2%減少したものの、注力しているストック収入型ビジネスの売上が同27.7%増加。前期は45百万円の損失だった営業損益が4百万円の利益に転じた。

・13/6期予想は前期比10.5%の増収、経常利益30百万円(前期は5百万円)。契約の積み上げと新規開拓でストック収入型ビジネスの売上が増加。増収による限界利益の増加とコスト削減で営業利益が31百万円と同7.5倍に拡大する見込み。

・体質改善は着実に進んでおり、必ずしも道は平坦でなかったが、09/6期を底とする業績の回復トレンドが続いている。13/6期は半期ベースでの利益体質の定着を確認したい。

会社概要
テナント誘致及び店舗・オフィス紹介等の「テナント誘致事業」と、契約更新、契約管理、メンテナンス(清掃、設備保守、警備管理等)等の「ビル管理関連事業」が二本柱。テナント誘致を中心とした成功報酬型ビジネスから、契約更新、契約管理、メンテナンスといったストック収入型ビジネスへの転換を図るべく、現在、収益構造改革に取り組んでいる。テナント誘致等を手掛ける(株)エリアクエスト店舗&オフィス、及びビル管理等の(株)エリアクエスト不動産コンサルティングの連結子会社2社と共にグループを形成し、同社自身はグループのマネジメントが中心。

【沿革】

現在代表取締役社長を務める清原雅人氏が野村證券(株)を経て起業。2000年1月にエリアリンク(株)として本格的なスタートを切った(01年3月、現商号に変更)。データベースマーケティングを駆使した営業力を武器にテナント誘致を中心とした成功報酬型ビジネスを急拡大させ03年2月に東証マザーズに株式を上場。その後も順調に業績を拡大させたが、米国での不動産市況の変調が国内にも波及し事業環境が一変。06/6期は前期の収益を押し上げた不動産売買が無くなった事とテナント誘致に伴う仲介手数料収入(成功報酬型収入)の減少で営業利益が急減。繰延税金資産の取り崩しもあり、1.4億円弱の最終赤字に転落した。

07/6期以降はグループをあげてのコスト削減に取り組むと共に構造改革に着手。成功報酬型収入に依存する収益構造からストック型収入を中心とし安定成長が可能な収益構造への転換を進めた。ただ、リーマン・ショック後の世界的な不況が企業業績を直撃しオフィス需要の低迷が深刻化、09/6期にかけては成功報酬型収入の減少に歯止めがかからず、3期連続の営業赤字を計上。営業投資有価証券や投資有価証券の評価損・売却損等の計上で最終赤字も膨らんだ。

10/6期も成功報酬型収入の減少が続いたが、コスト削減が進んだ事と契約更新・契約管理・メンテナンス等のストック型収入が下支えとなり4期ぶりに営業損益が黒字転換。投資業務からの撤退も完了した。ただ、11/6期は景気低迷による企業活動の低下に加え、東日本大震災の影響で年度末にかけての契約も進まず成功報酬型収入が落ち込む中、コスト削減効果の顕在化の遅れで再び営業赤字となった。しかし、ストック型収入が着実に増加しており、顕在化が遅れているものの固定費を中心にしたコスト削減も進展、黒字体質定着への道筋が見えてきた。

【財政状態及びキャッシュ・フロー(CF)】

07/6期以降、収益構造改革と並行して、営業投資有価証券や投資有価証券及び有利子負債の削減が進み財務面でのリスク軽減も進んだ。06/6期から09/6期にかけて4期連続の最終赤字となったため純資産の毀損も進んだが、同じ不動産事業でもマンション開発等を行うデベロッパーと異なり、仲介が中心であった同社は大きな運転資金を必要とせず、また、不動産在庫を保有する必要が無かった事が幸いし資金繰りに窮する事はなかった。

CFの面では、未だ水準は低いものの、10/6期には営業CFに底打ち感が出てきた。このため、期末のキャッシュ(現金及び現金同等物)残高も、09/6期を底に安定した推移となっている。

2012年6月期決算
ストック収入型売上の増加とコスト削減により営業損益が黒字転換

売上高は前期比8.5%増の646百万円。企業の出店意欲の低下や賃料水準の低迷等で、テナント誘致及び店舗・オフィス紹介等の成功報酬型ビジネスの売上が330百万円と同5.2%減少したものの、注力しているストック収入型ビジネスの売上が315百万円と同27.7%増加した。

利益面では、売上構成比の変化で原価率が1.8ポイント上昇したものの、増収効果で売上総利益が277百万円と同4.0%増加した。一方、人件費、減価償却費、支払手数料等を中心に削減が進んだ販管費は273百万円と同12.6%減少。この結果、前期は45百万円の損失だった営業損益が4百万円の利益に転じた。会員権評価損15百万円など特別損失38百万円を計上したものの、保険解約益33百万円など特別利益53百万円を計上した事で特別損益も改善。当期純利益は19百万円と予想を上回る着地となった。

期末総資産は前期末比53百万円増の593百万円。借方では、本社移転(7月)等に伴い敷金及び保証金(39百万円→110百万円)等が増加。貸方では、ストック型ビジネスの拡大で長期預り保証金(17百万円→56百万円)等が増加した。

事業の拡大で運転資金が増加したものの、損益の改善で前期は25百万円だった営業CFの黒字が41百万円に増加した。一方、投資CFのマイナス幅が拡大したのは、敷金及び保証金の支払等による。特段の投資がなければ、13/6期にはフリーCFも黒字化するものと思われる。

2013年6月期業績予想
前期比10.5%の増収、経常利益30百万円(前期は5百万円)

厳しい事業環境を反映して引き続き成功報酬型ビジネスの苦戦が予想されるものの、契約の積み上げと新規開拓でストック収入型ビジネスの売上が伸びる。利益面では、売上の増加による限界利益の増加に加え、コスト削減にも努める事で営業利益が31百万円と同7.5倍に拡大する見込み。

今後の注目点
営業努力の成果でストック型ビジネスが成功報酬型ビジネスとほぼ同等の売上を計上するまでに成長してきた。一方、コスト面では、若干の遅れがあったものの、期末にかけてコスト削減も進んだ。13/6期はストック型ビジネスの売上が連結売上高の過半を超え、営業損益も黒字基調が定着してくるが、同社にとっては未だ道半ばだ。ストック型ビジネスだけで固定費を賄える体制を構築する事が同社の目標であり、営業を強化していく考え。体質改善は着実に進んでおり、必ずしも道は平坦でなかったが、09/6期を底とする業績の回復トレンドが続いている。13/6期は半期ベースでの利益体質の定着を確認したい。
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