(2468:東証マザーズ) フュートレック 2013年3月期第1四半期業績レポート

2012/09/06

今回のポイント
・13/3期1Qは前年同期比159.5%の増収、経常利益6.5億円(前年同期は9百万円の利益)。厳しい事業環境ではあったが、イニシャルフィー及びカスタマイズ業務による収入は増加し、スマートフォン向けアプリ「しゃべってコンシェル」(NTTドコモに提供)の関連売上も寄与して売上が大きく伸びた。研究開発費等による販管費の増加を吸収して前年同期は9百万円にとどまった営業利益が647百万円に拡大した。 

・通期予想に変更はない。第1四半期は期初予想を上回ったものの、大幅な売上・利益の伸び自体は当初から織り込み済み。第2四半期(7-9月)以降は、売上高がほぼ前年同期並みにとどまる中、音声認識の更なる性能向上と多言語対応、更にはソリューションビジネス展開のための開発投資が利益を圧迫する見込み。

・フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が進む事で同社のビジネスモデルも大きく変化する。音声認識技術を取り入れた業務ソリューションで、家電業界、車・カーナビ業界、銀行業界、介護業界等、従来の枠にとらわれない業界に展開していく考えだ。

会社概要
スマートフォンに話しかけるだけで操作を行う事ができるスマートフォンアプリ「しゃべってカンタン操作」(NTTドコモ)や声で入力できる銀行向け業務日報ソリューション等、「あらゆるビジネスシーンにも耐え得る高い認識精度」、「幅広い品揃え」、及び「カスタマイズ可能な柔軟性」を強みとする音声認識技術を用いてソリューションを展開している。
NTTドコモの音声エージェントサービス「しゃべってコンシェル」にも、音声認識エンジンを提供している。
グループは、同社の他、音声認識コア技術の開発をする(株)ATR-Trek、CRMソリューションやシステムソリューションを手掛けるイズ(株)、及びスマートフォン向けアプリ開発の(株)スーパーワンの連結子会社3社。NTTドコモ・グループが発行済株式の約10%を保有し、12/3期はNTTドコモ向けの売上高が全体の59.8%を占めた。

【事業内容】

事業は、ライセンス事業とライセンス以外の事業に分かれ、12/3期の売上構成比は前者が91.3%、後者が8.7%。また、前者は、音声認識・UIソリューション事業分野(同58.4%)、音源事業分野(同16.9%)、CRMソリューション事業分野(同15.9%)に分かれ、後者は基盤事業分野(同4.2%)及びカード事業分野(同4.5%)に分かれる。

新規事業の継続的な開発・育成により、業績は幾度かの踊り場を作りながらも、見事な右肩上がりの曲線を描いている。11/3期、12/3期はスマートフォン対応等の先行投資が負担となったが、13/3期以降は、利益が増加する見込み。

【音声認識技術と同社の強み】

音声認識技術とは、人間の話した言葉を機器に認識させて、音声による機器操作や情報入力を可能にする技術。同社は「vGate(ブイゲート)」ブランドの下で、機器に人間の声を認識させる「vGate ASR」、音声合成により人間の言葉を発語させる「vGate TTS」、及び音声認識と音声合成を組み合わせて機器との会話を実現する「vGate Talk2Me」の3製品をラインナップしており、これらの製品を様々なアプリケーションやシステムに組込む事によって、汎用的に利用する事ができる。

フュートレック音声認識製品の強み

「あらゆるビジネスシーンにも耐え得る高い認識精度」、「幅広い品揃え」、及び「カスタマイズ可能な柔軟性」を強みとしている。同社の音声認識技術は、この分野でトップクラスの技術を誇るATRの技術がベースになっている。音声認識の方式は、「分散型音声認識」(端末で取り込んだ音声データをサーバへ送り認識処理する。わずかに通信時間がかかるが語彙が豊富)、「ローカル型音声認識」(端末内で認識処理する。処理速度は速いが語彙数が限られる)、及び「ハイブリッド型音声認識」(端末内での認識とサーバでの認識を併用する)の3方式を有しており、顧客の要望に応じて使い分けが可能(「幅広い品揃え」)。

これら(音声認識、音声合成、音声対話)の製品は、顧客の要望に応じたカスタマイズが可能となっている。また、音声認識に使用する辞書のカスタマイズも行えるので、業界専用・社内専用の用語が多く使われる職場等での導入にも支障はない(「カスタマイズ可能な柔軟性」)」。

同社は「高い認識精度」、「幅広い品揃え」、「カスタマイズ可能な柔軟性」といった強みを活かして、従来から行ってきた顧客製品への技術の組込みに加え、法人向けサービス(業務ソリューション等)にも力を入れていく考え。

2013年3月期第1四半期決算
前年同期比159.5%の増収、経常利益6.5億円(前年同期は9百万円の利益)

売上高は前年同期比2.6倍弱の1,291百万円。厳しい事業環境ではあったが、イニシャルフィー及びカスタマイズ業務による収入は増加し、スマートフォン向けアプリ「しゃべってコンシェル」(NTTドコモに提供)の関連売上も寄与して売上が大きく伸びた。利益率の高いイニシャルフィー等を中心に売上が増えた事で売上総利益率が74.1%と前年同期比20.2ポイント改善。研究開発費等による販管費の増加を吸収して前年同期は9百万円にとどまった営業利益が647百万円に拡大した。

ライセンス事業(音声認識・UIソリューション事業分野、音源事業分野、CRMソリューション事業分野)

売上高は前年同期比178.8%増の1,250百万円。このうち、音声認識・UIソリューション事業分野の売上高は同391.3%増の1,119百万円。イニシャルフィー及びカスタマイズ業務による収入が大幅に増加、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモに提供している「しゃべってコンシェル」関連売上も寄与した。前年同期比で減少したランニングロイヤルティ収入も、スマートフォンへのシフトが進み、足元回復傾向にある。
音源事業分野の売上高は同61.1%減の43百万円。スマートフォンの普及で音源を搭載する従来型携帯電話の販売台数が減少したため、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモとの音源IPライセンス契約に基づくロイヤルティ収入が減少した。
CRMソリューション事業分野の売上高は同19.7%減の87百万円。CRM製品の売上が前年同期の実績をわずかに上回ったものの、システムの受託開発が落ち込んだ。

ライセンス以外の事業(基盤事業分野、カード事業分野)

売上高は前年同期比16.7%減の40百万円。カスタマイズ業務にかかる収入の減少で、基盤事業分野の売上が14百万円と同32.1%減少した他、英語リスニング模擬試験用メモリーカードの書込みの減少でカード事業分野の売上高も26百万円と同4.7%減少した。

第1四半期末の総資産は前期末比401百万円増の3,891百万円。借方では、売上の急増で売上債権が増加する一方、現預金が減少。貸方では、純資産や未払法人税等が増加した。総資産の増加で自己資本比率は前期末に比べて1.5ポイント低下したものの、77.1%と高水準。また、一時的にキャッシュポジションが低下したものの、実質無借金で流動性に富んだ健全な財政状態にも変わりは無い。

2013年3月期業績予想
第1四半期は期初予想を上回ったものの、大幅な売上・利益の伸び自体は当初から織り込み済み。第2四半期(7-9月)以降は、売上高がほぼ前年同期並みにとどまる中、音声認識の更なる性能向上と多言語対応およびソリューションビジネス展開のための開発投資が利益を圧迫する見込み。

通期では売上高3,300百万円(前期比28.8%増)、経常利益7億円(同39.5%増)、当期純利益390百万円(同49.1%増)を見込む。配当は1株当たり400円増配の期末2,500円を予定。

8/27に9/30を基準日とする1:200の株式分割および100株を1単元とする単元株制度の採用を発表した。
2013年3月期の分割後の1株当たりの配当予想は12円50銭となる。

今後の注目点
フィーチャーフォンからスマートフォンへの移行が進む事で同社のビジネスモデルも大きく変化する。具体的には、スマートフォンは基本的な機能を搭載するのみで、機能の拡張は個人が選択できるため、従来のキャリアやメーカ向けのビジネスモデルにこだわらない様々なアプローチが可能だ。同社は音声認識技術を取り入れた業務ソリューションで、家電業界、車・カーナビ業界、銀行業界、介護業界等、従来の枠にとらわれない業界に展開していく考え。尚、この8月(8日)にはソリューションの一つである「銀行向け業務日報ソリューション」が、(株)池田泉州銀行(本社:大阪市北区)全店に本格導入された。「銀行向け業務日報ソリューション」は音声認識技術vGateを用いた銀行業務効率化のためのソリューションで、銀行業務の一つである顧客対応業務で作成される訪問記録を音声入力で作成できる。(株)池田泉州銀行では、今回の本格導入に先立ち10店舗で試験導入したが、音声入力が導入された事をきっかけに営業支援システムの利用機会が増え、また、多くの店舗で「訪問件数」及び「訪問結果登録件数」の増加(最大30%以上)がみられたと言う。
「銀行業務日報ソリューション」の強みは銀行業務で使われる文章を高精度で認識できる事。今後、他行への販売を積極化させていく考えだ。
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