「中小企業の景況感」、改善に遅れ(日本)

2015/07/31

<今日のキーワード>「中小企業の景況感」、改善に遅れ(日本)

「中小企業の景況感」は、商工中金が毎月発表する「中小企業月次景況観測」などで知ることができます。取引先企業から製造業450社、非製造業550社を選び、全体的な景況判断を50を中立とした指数(当月と来月予測)として算出しています。また、より具体的な事業環境について、売上高、販売・仕入価格、資金繰り、製品在庫、生産設備、雇用状況などの判断指数も発表しています。

【ポイント1】「中小企業の景況感」は、依然「悪化」域ながら改善が広がる

中国株下落などで8月は低下
■7月29日に発表された7月の「景況判断指数」は、前月比+2.4ポイント改善しましたが、水準は49.3ポイントと依然として中立の50を下回っています。業種別には、全15業種中9業種が前月から改善し、水準は低調ながら「景況感」は改善方向です。景気回復が、緩慢ながら中小企業にも波及しつつあるようです。
■ただし、8月の予測指数は、同▲0.2ポイントと再び悪化する見通しです。7月に入り、中国株が大幅に下落したことで、同国の景気の先行きに不透明感が強まったことなどが背景と見られます。

【ポイント2】採算状況が改善

売上高は8月に加速
■個別の事業項目で中小企業の業況を見ると、7月は、販売価格、仕入価格がともに改善し、採算状況が改善しました。8月も改善が継続する見込みです。ただし、全体としては、まだ採算状況が悪化している企業の方が多く、業況に明るさが出るには時間がかかりそうです。
■売上高の前年同月比は、8月までプラスで推移する見込みです。鉄鋼や金属製品、電気機械の伸びの加速を見ると、世界的な景気の下振れを懸念する状況にはないことがうかがわれます。

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【今後の展開】「中小企業の景況感」は今後改善へ

■「景況感」に中国市場の混乱の影響も
6月調査の「日銀短観」では、中小企業の景況感の改善は緩慢でした。今回の商工中金の月次調査では、8月の先行きの景況感が、製造業で悪化が大きくなりました。中国株の急落などで、中国の景気減速懸念が強まり、これが中小企業の景況感にも影響していると考えられます。

■賃金上昇、輸出回復で「景況感」は改善へ
中国の景気については、追加金融緩和や景気対策などの政策余地が大きく、下振れは限定的と見られます。また、賃金上昇などから消費の回復が見込まれ、米国向け輸出の回復なども期待されることから、景気は緩やかに回復し、「中小企業の景況感」も今後改善することが期待されます。

(2015年7月31日)

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